煙の上がる黒い鋳鉄のスキレットに、濃い焼き色のついたハラミの細切りと、焦げ目のついた赤と緑のピーマン、玉ねぎ
調理器具

鋳鉄スキレットとコマル:熱をためて焼き色をつける道具

地域
メキシコ・アメリカ・中南米
公開

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薄い牛肉をフライパンで焼いたら、ジューッという音がすぐに止まり、肉から出た汁で煮えたような灰色になってしまった。そんな経験はないでしょうか。メキシコの屋台のカルネ・アサーダやテキサスのファヒータのような、濃い焼き色と香ばしさを家で出すには、肉をのせても冷めにくい、熱をたっぷりためた鉄の道具が必要です。

その代表が、黒い鋳鉄のスキレットです。メキシコの台所には、トルティーヤを温め、唐辛子やトマトを焼くための丸く平たい鉄板や土の板「コマル」があります。このブログのレシピでは、コマルの代わりにも鋳鉄のスキレットを使っています。重くて扱いにくい道具ですが、熱のため方と手入れの仕組みを知れば、長く使えます。

鋳鉄が熱をためこむ理由

熱をためる力と、熱を伝える力は別のもの

金属の鍋の性質は、大きく2つに分けて考えると分かりやすくなります。

  • 熱をためる力(熱容量):同じ温度でも、どれだけたくさんの熱を抱えていられるか
  • 熱を伝える力(熱伝導率):熱が鍋の中をどれだけ速く広がるか

アメリカの料理科学者デイブ・アーノルドは、鋳鉄は熱を伝える力がアルミや銅よりずっと低い金属だと説明しています。一方で、同じ体積で比べると、鋳鉄はアルミより多くの熱をためます。しかも鋳鉄のスキレットは、同じ大きさのほかの素材のフライパンより厚く、重く作られています。そのため、いったん熱くなると、同じ温度のほかのフライパンより多くの熱を抱えています。アーノルドは、これが鋳鉄の焼き付ける力の源だとしています。

冷たい肉をのせると、肉は鍋から熱を奪います。薄いフライパンはためている熱が少ないので、温度がすぐに下がり、肉から出た水分が蒸発しきれずにたまって、肉が煮えてしまいます。厚い鋳鉄は熱をたくさんためているので、肉をのせても温度が下がりにくく、表面の水分を一気に飛ばして焼き色をつけられます。

牛ハラミを煙が出るまで熱したスキレットで焼くテキサスのファヒータは、焼いた肉と野菜をスキレットごと食卓に出します。鋳鉄にたまった熱で、食卓でもしばらくジュージューと音が続きます。

本場ファヒータのレシピテキサス生まれのテックスメックス料理ファヒータを、牛ハラミと鋳鉄のスキレットで。強火で焼いた肉とピーマン、玉ねぎを小麦粉のトルティーヤで巻いて食べます。繊維を断つ切り方、鋳鉄が温度を保つ理由、マリネが短くてよい理由を料理科学で解説します。

弱点は、温まり方のむら

熱を伝える力が低いということは、熱が鍋全体に広がるのに時間がかかるということです。アーノルドは、ガスの火にかけると、炎の当たるところだけが熱くなるとしています。小さなバーナーに大きなスキレットをのせると、縁は温まりません。

料理研究家J・ケンジ・ロペス=アルトは、フライパンの素材を比べる試験で、鋳鉄のスキレットでトルティーヤを焼いています。炎の当たった輪の形に濃い焼き色がつき、真ん中は白っぽいままで、むらなく焼く点では「とても悪い」と評価しました。ロペス=アルトは、鋳鉄は熱の伝わりが悪いので、長い時間をかけてていねいに予熱する必要があると書いています。工芸の雑誌の編集者トッド・オッペンハイマーの測定では、鋳鉄のスキレットの真ん中が190℃になったとき、縁は120〜135℃ほどでした。

むらなく温める予熱のしかた

むらを小さくするには、時間をかけて温めます。

  • コンロで温める:アメリカの料理研究機関「アメリカズ・テスト・キッチン(ATK)」は、ふつうの料理なら中火〜強めの中火で3〜5分予熱するとしています。いきなり強火にせず、中火で全体を温めてから火を強めると、むらが減ります
  • オーブンで温める:ATKは、しっかり焼き付けたいときは、260℃のオーブンでスキレットを予熱するやり方を紹介しています。アーノルドも、鋳鉄をむらなく温めるいちばんよい方法はオーブンだとしています
  • バーナーの大きさを合わせる:スキレットの底の大きさに近いバーナーを使います

このブログのカルネ・アサーダは、スキレットを強火で4〜5分、うっすら煙が出るまで熱してから肉をのせます。

本場カルネ・アサーダのレシピメキシコ北部の焼き肉カルネ・アサーダを、炭火の代わりに煙が出るまで熱した鋳鉄のスキレットで。柑橘とにんにくで短くマリネしたハラミを強火で焼き、刻んでタコスに。メイラード反応、マリネの効き方、繊維を断つ切り方を料理科学で解説します。

焼き色はメイラード反応:鉄の温度を下げない

肉の焼き色と香ばしい香りは、肉のアミノ酸と糖が熱で反応する「メイラード反応」によるものです。BBQの科学で知られるミートヘッド・ゴールドウィンは、メイラード反応は低い温度でも少しずつ進むものの、150℃を超えると勢いよく進むとしています。

表面がぬれていると、熱は水を蒸発させるのに使われ、表面の温度は100℃ほどで止まります。ミートヘッドは、表面がマリネ液などでぬれていると、焼けずに蒸されて焼き色がつかないとしています。スキレットで焼き色をつけるコツは、次の3つです。

  • 水けをふく:焼く前に、肉や野菜の表面の水けをキッチンペーパーでふきます
  • よく予熱する:ためている熱が多いほど、肉をのせても温度が下がりにくくなります
  • 詰め込まない:ミートヘッドは、肉と肉の間をあけて、蒸気を逃がすよう勧めています。詰め込むと温度が下がり、焼き色がつきにくくなります。入りきらないときは、2回に分けて焼きます

焼き色がつく仕組みと、焦げとの境目は、こちらの記事で詳しく解説しています。

メイラード反応とカラメル化:焼き色と香りの正体焼いた肉や玉ねぎが茶色く香ばしくなる理由を、メイラード反応とカラメル化の違いから解説します。焼き色は表面が乾いてからつく仕組み、焦げとの境目、焼き付けで肉汁は閉じ込められない理由、BBQのバークの正体が分かります。

ピッカーニャは、低い温度のオーブンで中まで火を通してから、最後にスキレットで脂の面を焼きます。オーブンでは表面がゆっくりしか色づかないので、焼き色はたっぷり熱をためた鉄に任せます。

家庭のオーブンで作るピッカーニャ(シュラスコ)ブラジルのシュラスコで一番人気の牛肉、ピッカーニャ(イチボ)を家庭のオーブンで。120℃で中心温度50℃まで焼き、最後に脂の面をスキレットで焼くリバースシアで仕上げます。脂のレンダリングや粗塩を使う理由を料理科学で解説します。

アル・パストールも、オーブンで焼いた塊から削いだ肉を、よく熱したスキレットで焼き付けて、屋台の焦げた縁に近づけます。

家庭のオーブンで作るタコス・アル・パストールメキシコシティの屋台の定番タコス・アル・パストールを家庭のオーブンで。唐辛子とアチョーテに漬けた薄切り豚肉を型に重ねて焼き、削いでスキレットで焼き付けます。パイナップルの酵素、唐辛子の焙煎、メイラード反応を料理科学で解説します。

シーズニングの仕組みと手入れ

シーズニングは、油が固まってできた膜

鋳鉄は鉄なので、そのままではすぐにさびます。そこで、表面に薄く油を塗って高い温度で焼き、膜を作ります。これを「シーズニング」と呼びます。

米国バージニア工科大学の食品科学者ショーン・オキーフ教授によると、油を加熱すると、油の分子どうしがつながって大きな分子になります。これを「重合」と呼びます。重合した油は、薄く硬い膜になって、鉄をさびから守り、食材がくっつきにくい表面を作ります。オキーフ教授は、大豆油や亜麻仁油のように、多価不飽和脂肪酸の多い油が向いているとしています。アメリカの鋳鉄メーカー、ロッジの鍋は、工場で大豆由来の植物油を焼き付けた状態で売られています。

膜がよく固まる温度について、アーノルドは200〜260℃ほどとしています。それより低い175〜190℃ほどでは、茶色くべたついた表面になるとしています。

ふだんの手入れ

ロッジのすすめる手入れは、「洗う・乾かす・油を塗る」の3つです。

  1. 冷ましてから洗う ぬるま湯と洗剤で、たわしやブラシで洗う。こびりつきは、水を入れて3〜5分煮立ててから、冷めてからへらでこそげる。
  2. すぐに乾かす ペーパータオルや布で水けをしっかりふく。
  3. 油を薄く塗る ペーパータオルで、表面全体に油をごく薄く塗る。

「鋳鉄は洗剤で洗ってはいけない」とよく言われます。けれども、ATKは少しの洗剤ではシーズニングの膜は傷まないとしていて、ロペス=アルトも、今の洗剤は重合した油の膜に影響しないと書いています。オキーフ教授によると、洗剤を避ける言い伝えは、昔の石けんに強いアルカリの灰汁(あく)が含まれていたころの名残です。ロッジは、水に浸けておくことと食器洗い機は、さびの原因になるので避けるよう書いています。

酸っぱいものと、さび

ATKの試験では、よくシーズニングしたスキレットなら、酸っぱい料理も短い時間なら問題ありませんでした。金属の味を感じる人が出たのは、30分以上煮込んだときです。チラキレスのように、サルサを煮立ててトルティーヤチップスをからめるだけの料理なら、スキレットで作れます。食べ終わったら、残りは別の容器に移します。

本場チラキレスのレシピメキシコの定番の朝ごはんチラキレスを、市販のトルティーヤとスキレットひとつで。乾かしたトルティーヤを揚げて赤いサルサで煮て、目玉焼きをのせます。乾かすと油を吸いにくい理由と、トトポがサルサを吸ってしんなりする仕組みを料理科学で解説します。

さびても、たいていは直せます。ロッジは、さびをスチールウールなどで落として洗って乾かし、油を薄く塗るやり方を紹介しています。さびがひどいときは、油を塗ってから230〜260℃のオーブンで、スキレットを逆さにして1時間焼き、そのまま冷まします。ATKも、割れたり、さびで穴があいたりしない限り、鋳鉄はたいていよみがえるとしています。

サイズと重さの選び方

このブログでは、2つの大きさのスキレットを使い分けています。

  • 直径25〜26cm:カルネ・アサーダ、ファヒータ、ケサディーヤ、チラキレスなど、ほとんどのレシピに使います。ロッジの10と1/4インチ(約26cm)のスキレットは、深さ約5cm、重さ約2.5kgです(Amazon|楽天)
  • 直径16cm前後:チョリソを炒めてそのままオーブンでチーズを焼き、食卓に出すケソ・フンディードに使います。ロッジの6と1/2インチ(約16.5cm)のスキレットは、重さ約0.9kgです(Amazon|楽天)

26cmのスキレットは、片手で振るには重すぎます。ロペス=アルトも、鋳鉄のスキレットは重くて片手で振りにくいと書いています。炒め物のように鍋を振る料理ではなく、置いたまま焼く料理に向いています。持ち手は鍋と一体の鉄なので、焼いているあいだに熱くなります。素手でつかまず、ミトンや持ち手のカバーを使います(Amazon|楽天)。バージニア工科大学のオキーフ教授は、熱を長く保つので、やけどに気をつけることと、重いのでガラストップのコンロに落とさないことを注意点に挙げています。

小さなスキレットでチョリソを炒め、そのままチーズをのせてオーブンで焼くメキシコ北部のケソ・フンディードの作り方はこちらです。

家庭のオーブンで作るケソ・フンディードメキシコ北部のケソ・フンディードを、小さな鋳鉄スキレットと家庭のオーブンで。溶けるチーズに手作りの簡易チョリソをのせて焼き、小麦粉のトルティーヤに巻いて食べます。チーズが糸を引く仕組みや油が分離する理由を料理科学で解説します。

メキシコのコマル:土と鉄

紀元前から使われてきた道具

コマル(comal)は、アステカの言葉ナワトル語の「コマリ(comalli)」から来た名前です。英語版ウィキペディアによると、コマルのような道具は中米各地の遺跡から見つかっていて、古いものは紀元前700年ごろのものです。メキシコの旅行と文化の雑誌「メヒコ・デスコノシド」は、オアハカで見つかった紀元前6世紀ごろのものを、いちばん古い例として紹介しています。

古いコマルは、縁が少し立ち上がった薄い素焼きの板でした。メヒコ・デスコノシドによると、伝統的な土のコマルは、「テナマシュトレ」と呼ばれる3つか4つの石の上にのせ、下で火や炭火を燃やして使います。

土のコマルと、鉄のコマル

  • 土(バロ)のコマル:もとからの形です。新しい土のコマルは、使う前に水と消石灰(カル)を混ぜたものを塗って乾かします。この下ごしらえを「クラード(curado)」と呼び、食材がくっつきにくくなるとされています。今もメキシコと中米の先住民の人々が作り、使っています
  • 鉄のコマル:今の家庭では、薄い鉄板(ラミナ)や、厚い鋳鉄のコマルが一般的です。コンロにのせて使えます。英語版ウィキペディアによると、家庭のコマルは、バーナー1口にのる丸い形と、前後2口にまたがる楕円の形があります

アメリカの料理教室サイト「マスタークラス」によると、メキシコの屋台では、直径が1m近くもある大きなコマルも使われます。市場ではトルティーヤを焼いて売る女性たちが、今もコマルでトルティーヤを焼いています。

薪の火にかけた、メキシコの市場の大きな丸い鉄のコマル。小さな黄色いコーントルティーヤがいくつも並んで焼け、右端で黒く焦げたトマトと青唐辛子を焼いている

コマルで焼くもの

メヒコ・デスコノシドは、コマルの使いみちとして次のものを挙げています。

  • トルティーヤを焼く、温める
  • 唐辛子や肉を焼く
  • トウモロコシ、ピーナッツ、種、スパイスを煎る
  • ケサディーヤ、トラユダ、ソペなどを焼く

英語版ウィキペディアは、昔はカカオ豆を煎るのにも使われていたとしています。

日本でコマルの代わりに使うもの

日本では、メキシコのようなコマルは手に入りにくい道具です。代わりに使えるものを挙げます。

  • 鋳鉄のスキレット:このブログのいちばんのおすすめの代わりです。熱をためるので、冷たいトルティーヤをのせても温度が下がりにくくなります。縁が低いほうが、トルティーヤを裏返しやすくなります
  • 鉄のフライパン:鋳鉄より薄くて軽く、温まるのが速い反面、ためている熱は少なめです。トルティーヤを1枚ずつ温めるのには十分使えます
  • 魚焼きグリル:トマトや玉ねぎ、にんにくに焦げ目をつけるのに向いています。このブログのサルサ・ロハは、フライパンのほかに魚焼きグリルでも作れるようにしています
  • 鋳鉄のコマル:通販では、メキシコや南米のメーカーの鋳鉄のコマルも手に入ります。縁がほとんどなく、トルティーヤを何枚も並べやすい形です(Amazon)

フッ素樹脂加工のフライパンは、コマルの代わりには向きません。調理器具メーカーのツヴィリングは、フッ素樹脂加工の一般的な耐熱温度を260℃前後とし、強火や、食材を入れない空焚きは表面を傷めるので、中火以下で使うよう説明しています。コマルの使い方は、何ものせずに鉄を熱して、乾いた熱で焼くのが基本なので、鉄の道具を使います。

トマト、玉ねぎ、にんにく、チレ・デ・アルボルを焦げ目がつくまで焼いてすりつぶす、焼いた赤いサルサの作り方はこちらです。

本場サルサ・ロハのレシピメキシコの焼いた赤いサルサ、サルサ・ロハを家庭で。トマト、玉ねぎ、にんにく、チレ・デ・アルボルを鉄のフライパンや魚焼きグリルで焦げ目がつくまで焼き、すりつぶします。メイラード反応とカラメル化、焦げと苦みの関係を料理科学で解説します。

トルティーヤを温める、唐辛子と野菜を焼く

トルティーヤは、油をひかずに乾いた鉄で

市販のトルティーヤは、冷めるとでんぷんが固くなり、割れやすくなります。食べる前に、コマルやスキレットで温め直します。

  1. 鉄を温める スキレットを油をひかずに中火にかけ、3〜5分かけて全体を温める。
  2. 片面ずつ焼く トルティーヤをのせ、片面20〜30秒ずつ、やわらかくなり、ところどころに焼き色の点がつくまで温める。
  3. 包んで保温する 温めたものから布巾に包むか、トルティーヤの保温容器に重ねて入れる(Amazon|楽天)。

ロペス=アルトの試験のように、鋳鉄は炎の当たるところだけが熱くなりやすいので、予熱は短く切り上げないことが大事です。焼き色が輪の形につくときは、もう少し長く予熱するか、火を弱めて時間をかけます。

コーントルティーヤをコマルの代わりのスキレットで温め、チーズをはさんで焼く、メキシコ中部の本場のケサディーヤの作り方はこちらです。

本場ケサディーヤのレシピメキシコ中部の本場のケサディーヤを、コマルの代わりに鋳鉄のスキレットで。コーントルティーヤにオアハカチーズとエパソーテ、またはキノコをはさんで焼きます。チーズが糸を引く仕組みとトルティーヤの焼き色を料理科学で解説します。

マサ・アリナから生地を作り、スキレットで焼いてぷくっと膨らませる、コーントルティーヤの作り方も紹介しています。

本場コーントルティーヤのレシピメキシコの主食コーントルティーヤを、マサ・アリナと水だけで。トルティーヤプレスで押しのばし、鋳鉄のスキレットで焼けば家庭のコンロでもぷくっと膨らみます。生地を休ませる理由、ひび割れの見分け方、膨らむ仕組みを料理科学で解説します。

唐辛子や野菜を焦がす「タテマール」

メキシコでは、コマルや直火で材料に焦げ目がつくまで焼くことを「タテマール(tatemar)」と呼びます。言葉のもとは、ナワトル語の「トラテマティ(tlatemati)」で、「火にかける」という意味です。

  • 生の唐辛子:ポブラノなどは、全体の皮が黒く焦げるまで転がしながら焼きます。皮がはがれやすくなるので、むいてから使います
  • トマトとトマティーヨ:皮が黒く焦げてやわらかくなるまで焼き、サルサやモレに使います
  • 玉ねぎとにんにく:焦げ目をつけて、サルサに加えます

焦がすと、メイラード反応やカラメル化で、香ばしく甘い香りが生まれます。ただし、乾燥唐辛子は事情が違います。乾燥唐辛子は水分がほとんどないので、すぐに温度が上がって焦げ、苦くなります。このブログのレシピでは、中火のスキレットで10〜20秒ずつ、押し付けながら香りが立つまで焼き、黒くは焦がしません。

乾燥唐辛子の焙煎と戻し方は、メキシコの唐辛子の名前の記事で解説しています。

ハラペーニョがチポトレになる:生と乾燥で名前が変わるメキシコの唐辛子ハラペーニョはチポトレに、ポブラノはアンチョに。メキシコの唐辛子が生と乾燥で名前を変える理由と4つの組み合わせ、乾燥で色と香りが変わるメイラード反応、チポトレの煙の香りの正体、苦くしない焙煎と戻し方が分かります。

スキレットの厚い鉄でコンロの上で焼くのに対して、厚い鋳鉄の鍋をオーブンに入れて煮込む道具が、ダッチオーブンです。

鋳鉄のダッチオーブン:オーブンの煮込みに向く理由と選び方メキシコの煮込みやアメリカのBBQを家庭のオーブンで作るときに便利な、鋳鉄のダッチオーブンの選び方と使い方を解説します。オーブンの煮込みに向く理由、黒い鋳鉄とホーローとステンレスの違い、メキシコの銅や土の鍋、サイズと重さ、手入れ、つまみの耐熱温度が分かります。

まとめ

  • 鋳鉄は熱を伝える力は低いが、厚く重いぶん熱をたくさんためる。肉をのせても温度が下がりにくく、焼き色をつけやすい
  • 弱点は温まり方のむら。中火で3〜5分以上かけて全体を温めるか、オーブンで予熱する。表面の水けをふき、詰め込まずに焼く
  • シーズニングは、油が重合してできた硬い膜。少しの洗剤では落ちない。「洗う・乾かす・油を塗る」で、浸けおきと食器洗い機は避ける
  • 26cm(約2.5kg)がほとんどの料理に使え、16cm(約0.9kg)はケソ・フンディードのように器ごと出す料理に向く
  • メキシコのコマルは土や鉄の平たい板。日本では、鋳鉄のスキレットや鉄のフライパンで代わりになる。フッ素樹脂加工のフライパンの空焚きは避ける

もっと知りたい人へ

焼き色のもとになるメイラード反応など、加熱で食材に起きる変化を詳しく知りたい人には、料理科学の定番の本があります。

マギー キッチンサイエンス(ハロルド・マギー『On Food and Cooking』の日本語版)(Amazon|楽天)

コマルで焼くトルティーヤやサルサをはじめ、メキシコの家庭料理を本場の作り方で学びたい人には、料理家リック・ベイレスの本がおすすめです。

Rick Bayless's Mexican Kitchen(Amazon)

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成したものです。