
鋳鉄のダッチオーブン:オーブンの煮込みに向く理由と選び方
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かたい牛すねや豚の肩肉を煮込むとき、コンロにかけっぱなしにすると、底が焦げついたり、煮汁が減りすぎたりしがちです。何度も火加減を見に行くのは面倒ですし、3時間も4時間も台所を離れられません。このブログのビリアやバルバコア、フェイジョアーダのレシピで、鍋ごとオーブンに入れて煮込んでいるのは、こうした手間をなくすためです。
そのときに使うのが、ふたの重い厚手の鋳鉄の鍋、ダッチオーブンです。重くて場所も取る鍋ですが、熱をためこむ性質と重いふたのおかげで、オーブンに入れるといちばん力を発揮します。素材やサイズ、つまみの耐熱温度など、日本の家庭のオーブンで使うときに気をつけたい点も多い道具です。
ダッチオーブンとは
ダッチオーブンは、厚い壁とぴったり合うふたを持つ、鋳鉄などでできた深い鍋です。名前の「ダッチ」は「オランダの」という意味です。
英語版ウィキペディアによると、イギリスのブリストルで真ちゅうの会社を営んでいたエイブラハム・ダービーが、1704年にオランダを訪れ、砂の型に金属を流し込む鋳造のやり方を学びました。ダービーはのちに、このやり方をもとに鉄の鍋を砂型で鋳造し、1707年にイギリスで特許を取りました。「ダッチオーブン」という呼び名は、少なくとも1710年には使われていたとされます。
ダッチオーブンには、2つの形があります。
- キャンプ用:3本の脚と針金の持ち手があり、ふたの縁が立ち上がっています。炭火の上に置き、ふたの上にも炭をのせて、上下から加熱します
- 台所用:底が平らで脚がありません。コンロにもオーブンにも入れられます。このブログで使うのは、こちらです
台所用には、黒い鋳鉄のままのものと、表面にガラス質のホーロー(エナメル)を焼き付けたものがあります。ホーロー引きのものは、英語圏では「フレンチオーブン」と呼ばれることもあります。
オーブンの煮込みに向く4つの理由
1. 熱をためこむ(蓄熱)
鋳鉄は、熱を伝える力(熱伝導率)がアルミや銅より低い金属です。一方で、熱をためこむ力は大きく、アメリカの料理科学者デイブ・アーノルドは、同じ体積で比べると鋳鉄はアルミより多くの熱をためると説明しています。しかも鋳鉄の鍋は、ほかの素材の同じ大きさの鍋より厚く、重く作られています。そのため、いったん温まると、たくさんの熱をためたまま、温度がゆっくりとしか変わりません。
煮込みでは、この性質が温度の安定につながります。オーブンの温度が上下に揺れても、重い鍋とたっぷりの煮汁がその揺れをならしてくれます。ただし、温まるのにも時間がかかります。アメリカの料理研究機関「アメリカズ・テスト・キッチン(ATK)」は、鋳鉄のような重い器は、オーブンの中で温まるまでに余計に時間がかかるとしています。このブログのビリアのレシピで、コンロで煮立ててからオーブンに入れるのは、冷えた鍋と煮汁を温める時間を短くするためです。
家庭のオーブンで作るビリア(ケサビリアタコス)メキシコ・ハリスコ州生まれ、ティフアナ式の牛肉のビリアを家庭のオーブンで。唐辛子のアドボに漬けた牛すね肉をダッチオーブンで3時間煮込み、ケサビリアタコスにします。ゼラチンのコク、オーブンで焦げつかない理由、赤い脂の正体を料理科学で解説します。
2. まわりから均一に温まる
ATKは、オーブンで煮込むと、鍋のまわり全体から熱が当たるので、穏やかにむらなく火が通ると説明しています。コンロの火は鍋の底だけに集中するので、底の煮汁が熱くなりすぎ、とろみが弱まったり焦げついたりしやすくなります。
鋳鉄は熱を伝える力が低いので、コンロの上では、炎の当たるところだけが熱くなりがちです。アーノルドは、鋳鉄をむらなく温めるいちばんよい方法はオーブンだとしています。鋳鉄の鍋とオーブンは、相性のよい組み合わせなのです。
唐辛子のソースで角切りの牛肩ロースを煮込むテキサス式のチリコンカンも、焦げつきやすいソースを150℃のオーブンでむらなく煮込みます。
家庭のオーブンで作るテキサス式チリコンカン豆を入れないテキサス式の本場のチリコンカンを、家庭のオーブンで。角切りの牛肩ロースをアンチョとグアヒージョのソースで、150℃のオーブンで煮込みます。唐辛子を焼く理由、赤い色が脂に溶ける理由、肉が柔らかくなる仕組みを料理科学で解説します。
3. 重いふたで、蒸気を逃がしにくい
重いふたがぴったり閉まると、煮汁から出た水蒸気が鍋の外へ逃げにくくなります。鍋の中は水蒸気で満たされ、肉の表面が乾きにくく、煮汁も減りすぎません。
ふたをした鍋の中の温度は、水が沸く温度より上がりません。ATKは、ふたをした鍋をオーブンに入れて中の温度を5分ごとに記録しています。中の温度は90分ほどで100℃に届き、そのまま最後まで100℃で保たれました。オーブンが150〜160℃でも、煮汁の中の肉は100℃以下でゆっくり加熱されます。この温度に長く保たれるあいだに、肉のかたいすじ(コラーゲン)が時間をかけてゼラチンに変わります。
牛ほほ肉に水を少しだけ加え、鍋とふたで閉じて4〜5時間蒸し焼きにする、南テキサスのバルバコアの作り方はこちらです。
家庭のオーブンで作るバルバコア(南テキサス式)南テキサスの日曜の朝の定番バルバコアを家庭のオーブンで。牛ほほ肉をダッチオーブンに入れ、150〜160℃で4〜5時間蒸し焼きにしてほぐします。コラーゲンのゼラチン化、湿熱と乾熱の違い、煮汁を戻す理由を料理科学で解説します。
4. コンロからオーブンへ、そのまま入る
ATKは、ホーロー引きの鋳鉄のダッチオーブンを煮込みにいちばん向く鍋として挙げ、その理由に、熱をためること、洗いやすいこと、コンロからオーブンへそのまま移せることを挙げています。
肉に焼き色をつけ、香味野菜を炒め、煮汁を加えて煮立て、ふたをしてオーブンへ。この流れを、鍋を替えずに1つの鍋で続けられます。鍋の底についた焼き色を煮汁で溶かせば、それも煮込みの味になります。

牛すね肉の全面に焼き色をつけてから、そのまま煮汁を加えてオーブンで煮込むキューバのロパ・ビエハの作り方はこちらです。
家庭のオーブンで作るロパ・ビエハキューバの家庭料理ロパ・ビエハを、牛すね肉とダッチオーブンで。家庭のオーブンで150〜160℃でじっくり煮込み、裂いた肉をトマトとピーマンのソースで煮ます。肉が繊維に沿って糸のように裂ける理由を、筋線維とコラーゲンの料理科学で解説します。
肉に焼き色がつく仕組みと、同じ鋳鉄でできたスキレットの使い方は、こちらの記事で解説しています。
鋳鉄スキレットとコマル:熱をためて焼き色をつける道具肉や野菜に焼き色をつけ、トルティーヤを温める、鋳鉄スキレットとメキシコのコマルを解説します。鋳鉄が熱をためこむ理由、焼き色をつけるメイラード反応と鉄の温度、シーズニングの仕組みと手入れ、サイズの選び方、日本でコマルの代わりに使えるものが分かります。
素材の違い:黒い鋳鉄、ホーロー、ステンレス
黒い鋳鉄
表面が鉄のままの鋳鉄の鍋です。使う前に油をなじませて焼き付ける「シーズニング」が必要です。アメリカの鋳鉄メーカー、ロッジの鍋は、工場で大豆由来の植物油を焼き付けた状態で売られているので、買ってすぐ使えます(Amazon|楽天)。
- よいところ:丈夫で、焦げつきやさびは落として、シーズニングし直せます。ホーローのように欠ける心配がなく、ふたまで鉄なので、つまみの耐熱温度を気にしなくて済みます
- 気をつけること:酸っぱい煮込みを長く煮ると、金気が出ることがあります。ATKの試験では、よくシーズニングした鍋でも、酸っぱいソースを30分以上煮ると、金属の味を感じる人が出ました。煮上がったら、残りは別の容器に移します
ホーロー引きの鋳鉄
鋳鉄の表面にガラス質のホーローを焼き付けた鍋です。さびず、シーズニングもいりません。
- よいところ:酸に強く、柑橘やトマト、酢を使う煮込みを長く煮ても、金気が出ません。米国バージニア工科大学の食品科学者ショーン・オキーフ教授も、トマトソースのように酸っぱい料理を長く煮るなら、ホーロー引きの鋳鉄を勧めています。ATKは、内側が明るい色のものを勧めています。鍋の底の焼き色の具合が見やすいからです
- 気をつけること:落としたり、空のまま強火にかけたり、熱い鍋に冷たい水を入れたりすると、ホーローが欠けたりひびが入ったりすることがあります。値段も黒い鋳鉄より高めです
柑橘とアチョーテのマリネに漬けた豚肉を3時間以上蒸し焼きにするユカタン半島のコチニータ・ピビルや、酢と唐辛子のアドボで煮込むビリアのように、酸っぱい煮込みには、ホーロー引きのほうが気をつかわずに使えます(Amazon|楽天)。
家庭のオーブンで作るコチニータ・ピビルユカタン半島の本場のコチニータ・ピビルを、地中のかまどではなく家庭のオーブンで。アチョーテと柑橘に漬けた豚肩ロースをバナナの葉で包み、ダッチオーブンで蒸し焼きに。酸が届く深さ、色素ビキシンが油に溶ける理由を料理科学で解説します。
ステンレスなど、ほかの素材
ATKは、ステンレスの寸胴鍋のように軽い鍋も、煮込みによく使えるとしています。ただし、鋳鉄より熱くなりやすく、ATKはステンレスの鍋のほうが「高めの温度で煮える」と評しています。軽くて扱いやすい反面、熱をためる力は鋳鉄より小さくなります。ATKは、軽い陶器の鍋は丈夫さに欠け、焦げつきやすいとしています。
メキシコの鍋:銅のカソと、土のオジャ、カスエラ
メキシコの煮込みで昔から使われてきたのは、鋳鉄ではなく、銅の大鍋や土鍋です。
銅の大鍋「カソ」
ミチョアカン州のカルニタスは、「カソ(cazo)」と呼ばれる大鍋に豚肉とラードを入れて作ります。カルニタスの名産地キロガの店を紹介するメキシコの記事では、カソは近くの銅細工の町サンタ・クララ・デル・コブレで作られていると書かれています。一方、カルニタスの品質を認める認証の基準を伝えるメキシコの報道では、鍋は「銅またはステンレスのカソ」とされています。銅でなければならないわけではありません。
このブログのメキシコ式カルニタスは、カソの代わりにダッチオーブンにラードを入れ、ふたをせずにオーブンで煮ます。ふたをしないのは、肉から出る水分を飛ばし、最後にラードで表面をカリッと揚げるためです。ダッチオーブンでも、ふたを使うかどうかで、煮る料理にも揚げる料理にもなります。
家庭のオーブンで作るカルニタス(メキシコ式)メキシコ・ミチョアカン州のカルニタスを、ダッチオーブンと家庭のオーブンで。豚肩ロースをラードで煮て、水分が飛んだら表面をカリッと仕上げます。水が温度にブレーキをかける仕組み、ラードの役割、オレンジや牛乳、コーラの効果を料理科学で解説します。
土の鍋「オジャ」と「カスエラ」
メキシコでは、深い土鍋を「オジャ(olla)」、浅く口の広い土鍋を「カスエラ(cazuela)」と呼びます。メキシコの料理メディア「ガストロラボ」は、土の鍋は熱をむらなく伝えてゆっくり煮込め、汁けを保つので煮込みがしっとり仕上がるとしています。その一方で、割れやすいこと、急な温度の変化でひびが入ることも欠点に挙げています。
土の鍋は、使う前に「クラード(curado)」と呼ばれる下ごしらえをします。メキシコの消費者保護庁(Profeco)は、鍋を水に浸してから温めてラードや油を塗る、水を入れて煮立てて蒸発させるなどのやり方を紹介しています。土の鍋に使われてきた、つやのある釉薬「グレタ」には鉛を含むものがあり、酸っぱい料理や高い温度で鉛が溶け出すおそれがあるとされます。そのため、メキシコでは「鉛なし(sin plomo)」と表示された鍋も売られています。
ハリスコ州のビリアも、ふたをして閉じた鍋で作る料理です。『メキシコ料理百科事典(Diccionario Enciclopédico de la Gastronomía Mexicana)』を引く記事によると、伝統的なビリアは、唐辛子のたれに漬けた肉をリュウゼツランの葉で包んで鍋に入れ、ふたのすき間をトウモロコシの生地でふさいで、肉汁が逃げないようにして4時間ほど煮ます。重いふたで蒸気を閉じこめるダッチオーブンと、考え方は同じです。
サイズと重さの選び方
このブログのレシピに合う大きさ
このブログのダッチオーブンを使うレシピは、肉が1〜1.5kgほどです。
- カルニタス(メキシコ式):豚肩ロース1kgとラード1kg。直径24〜26cm
- ビリア:牛すね肉1kgと牛肩ロース500g、水1L。直径24cm以上
- バルバコア(南テキサス式):牛ほほ肉1.5kg。直径24cm以上
- コチニータ・ピビル:豚肩ロース1.5kg。直径24cm前後
- ロパ・ビエハ:牛すね肉1kg。直径22〜24cm
- フェイジョアーダ:乾燥の黒いんげん豆500gと豚肉、干し牛肉など、水1.8L。容量5L以上、直径24〜26cm
1つ買うなら、直径24〜26cm、容量4〜5Lほどの丸い鍋が、どのレシピにも使えます。ATKは、アメリカの家庭向けに容量6〜7クオート(5.7〜6.6L)以上の鍋を勧めています。けれども日本のオーブンレンジには、メーカーの仕様で庫内の高さが22〜24cmほどの機種もあります。買う前に、ふたとつまみを含めた鍋の高さと、持ち手を含めた幅を確かめ、自分のオーブンに入るかを測っておきましょう。
豆と豚肉を煮込むブラジルのフェイジョアーダは、具も煮汁も多いので、5Lほどの容量が必要です。
家庭のオーブンで作るフェイジョアーダブラジルの国民食フェイジョアーダを、ダッチオーブンに入れて家庭のオーブンで。黒いんげん豆と豚肉、干し牛肉を150℃でじっくり煮込みます。煮汁のとろみを生むゼラチン、豆が柔らかくなる仕組み、塩水に浸す理由を料理科学で解説します。
重さ
鋳鉄のダッチオーブンは重い鍋です。メーカーや販売店の表示では、次のくらいの重さがあります。
- ロッジの黒い鋳鉄(直径26cm、容量4.7L):約5.9kg
- ル・クルーゼのホーロー(直径24cm、容量4.2L):約4.3kg。直径26cm(容量5.3L)で約5.0kg
- ストウブのホーロー(直径24cm、容量3.8L):約4.4kg。直径26cm(容量5.0L)で約5.2kg
ここに肉1.5kgと煮汁1Lが入ると、6〜8kgほどになります。熱い鍋をオーブンから出し入れするときは、両手で持てる厚手の鍋つかみを使います(Amazon|楽天)。バージニア工科大学のオキーフ教授も、鋳鉄は熱を長く保つのでやけどに気をつけること、ガラストップのコンロに落とさないことを、注意点に挙げています。
手入れ:シーズニングとホーローの扱い
黒い鋳鉄は「洗う・乾かす・油を塗る」
ロッジのすすめる、ふだんの手入れは次のとおりです。
- 冷ましてから洗う 使い終わったら鍋を冷まし、ぬるま湯と洗剤で洗う。こびりついたものは、水を入れて3〜5分煮立ててから、冷めてからへらでこそげる。
- すぐに乾かす ペーパータオルや布でしっかりふく。水けが残るとさびる。
- 油を薄く塗る ペーパータオルで、表面全体に油をごく薄く塗る。
「鋳鉄は洗剤で洗ってはいけない」とよく言われますが、ATKは、少しの洗剤ではシーズニングの膜は傷まないとしています。シーズニングは、油が高い温度で重合(分子どうしがつながること)して、硬い膜になったものです。今の洗剤で落ちることはありません。ロッジは、水に浸けておくことと食器洗い機は、さびの原因になるので避けるよう書いています。
さびてしまっても、たいていは直せます。ロッジは、さびをスチールウールなどで落として洗い、乾かしてから油を薄く塗り、230〜260℃のオーブンで鍋を逆さにして1時間焼いて、そのまま冷ますやり方を紹介しています。日本のオーブンレンジには、250℃が5分ほどで210℃に下がる機種もあります。アーノルドは、シーズニングがよく固まるのは200〜260℃ほどとしているので、210℃でもこの範囲に入ります。
ホーローは「中火まで」と「急に冷やさない」
ル・クルーゼは、ホーロー引きの鋳鉄について、次のように説明しています。
- 火加減:いつも弱火〜中火で使う。強火や最大の火力で予熱しない。急に温めると、ホーローが欠けたりひびが入ったりすることがある
- 温度の変化:温めるときも冷ますときもゆっくり。熱い鍋に冷たい水を入れない。凍った食材を入れた鍋を予熱したオーブンに入れない
- 道具:シリコンや木のへらを使う。金属の道具で縁をたたかない
- 洗い方:冷めてから、ぬるま湯と洗剤、やわらかいスポンジで洗う。金属たわしや研磨剤は使わない。縁の鉄が出ている部分がさびないよう、よく乾かす
選ぶときの注意:つまみの耐熱温度と、オーブンでの置き方
ふたのつまみは、何℃まで耐えるか
ホーローの鍋では、ふたのつまみが樹脂でできているものがあります。樹脂のつまみには、耐えられる温度の上限があります。
- ル・クルーゼ(日本の代理店のカタログ):トラディションのふたのつまみは190℃まで。オーブンは手動で190℃以下に設定し、スチーム、熱風、自動メニューは耐熱温度を超えることがあるので避ける。ステンレスのつまみは190℃以上でも使える
- ル・クルーゼ(アメリカの公式サイト):樹脂のつまみは200℃まで、ステンレスのつまみは260℃まで、取り外せない鋳鉄の持ち手は350℃まで
- ストウブ:金属のつまみで、ふたをしたままオーブンに入れられるとしています
- 黒い鋳鉄のロッジ:ふたも持ち手も鉄です
このブログの煮込みは、150〜170℃のオーブンで煮るものがほとんどです。それでも、日本のオーブンレンジには、オーブン機能が熱風式の機種があります。樹脂のつまみの鍋は、鍋の説明書の条件に合うかを確かめてから使います。最後に200℃に上げるメキシコ式のカルニタスは、もともとふたをせずに煮る料理です。
鍋は、天板や網の上に置く
ル・クルーゼは、鍋をオーブンの網の上に置き、庫内の底にじかに置かないよう書いています。底にじかに置くと、温度が上がりすぎることがあるからです。日本のオーブンレンジでも、鍋は付属の角皿や網にのせて、段に入れて使います。重い鍋をのせても角皿がゆがまないか、取扱説明書も確かめておくと安心です。
家庭のオーブンの温度のずれや、運転時間の上限については、こちらの記事で解説しています。
家庭のオーブンの科学:表示の温度と庫内の温度、熱風と輻射家庭のオーブンで塊肉を焼くときに知っておきたい、オーブンの仕組みを料理科学で解説します。表示の温度と庫内の温度の違い、熱風と輻射と伝導の3つの熱の届き方、予熱と扉を開けたときの温度、天板の段、オーブンレンジの温度と時間の上限が分かります。
アメリカ式のカルニタスは、オレンジ果汁とスープで豚肩肉をふたをして蒸し煮にし、最後に上火で焼きます。同じ豚肩肉でも、メキシコ式とは鍋の使い方が逆です。
家庭のオーブンで作るカルニタス(アメリカ式)アメリカの家庭で広まったカルニタスを、ラードを使わずに家庭のオーブンで。豚肩ロースをオレンジやスパイス、コーラと160℃で蒸し煮にし、ほぐして上火でカリッと焼きます。煮てから焼く理由、コーラの砂糖とメイラード反応を料理科学で解説します。
まとめ
- ダッチオーブンは、厚い壁と重いふたの鋳鉄の鍋。熱をたくさんためこみ、温度がゆっくりしか変わらない
- オーブンに入れると鍋のまわりから均一に温まり、焦げつかない。重いふたで蒸気を閉じこめ、煮汁の中の肉を100℃以下でゆっくり煮られる
- 黒い鋳鉄は丈夫で温度の上限を気にしなくてよい。酸っぱい煮込みを長く煮るなら、ホーロー引きが向く
- このブログのレシピには直径24〜26cm、容量4〜5Lが合う。重さは4〜6kgほど。オーブンに入るか高さと幅を測っておく
- 樹脂のつまみは190〜200℃前後が上限。黒い鋳鉄は「洗う・乾かす・油を塗る」、ホーローは「中火まで、急に冷やさない」
もっと知りたい人へ
ゆっくり煮込むと肉がやわらかくなる理由や、湿熱と乾熱の違いを詳しく知りたい人には、料理科学の定番の本があります。
マギー キッチンサイエンス(ハロルド・マギー『On Food and Cooking』の日本語版)(Amazon|楽天)
土の鍋で煮るメキシコの煮込みや豆料理を、本場の家庭の作り方で学びたい人には、メキシコ料理研究の第一人者ダイアナ・ケネディの本がおすすめです。
ダイアナ・ケネディ『The Essential Cuisines of Mexico』(Amazon|楽天)
出典
- Wikipedia「Dutch oven」
- Wikipedia「Cast-iron cookware」
- Cooking Issues(Dave Arnold)「Heavy Metal: the Science of Cast Iron Cooking」
- America's Test Kitchen「How to Braise Meat in the Oven」
- America's Test Kitchen「Using a Foil Lid When Braising Meat」
- America's Test Kitchen「Dutch Oven Shopping Guide」
- America's Test Kitchen「What Size Dutch Oven Should You Buy?」
- America's Test Kitchen「Busting Cast Iron Myths」
- America's Test Kitchen「The Best Oven Thermometers」
- Lodge Cast Iron「How to Season Cast Iron」
- Lodge Cast Iron「Cast Iron Troubleshooting」
- Lodge Cast Iron「Get to Know Your Lodge Cookware」
- BBQGuys「Lodge 5 Qt. Seasoned Cast Iron Dutch Oven L8DO3」
- Le Creuset「Care and Use」
- 遠藤商事「ル・クルーゼ カタログ」
- 遠藤商事「ストウブ カタログ」
- Where the Food Comes From「Cast Iron Uncovered: Virginia Tech Food Scientist Debunks Myths And Reveals The Best Care Tips」
- Food and Pleasure「Carmelo prepara carnitas y chicharrón recién salido del cazo en este Pueblo Mágico de artesanos」
- Uno TV「¡Orgullo nacional! Certificarán carnitas mexicanas con sello de calidad」
- Gastrolab「Conoce las ventajas y desventajas de los utensilios de barro」
- Gastrolab「Cómo identificar ollas de barro sin plomo」
- Uno TV「Consejos para curar tus ollas y cazuelas: tips de la Profeco」
- El Diario NY「6 cosas que quizá no sabías de la birria」
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成したものです。